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V.A. / O Fino da Bossa

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(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)

text by カリオカ龍太郎

58年に産声をあげて以来、リオのオシャレさん御用達ミュージックとして愛されたボサノヴァですが、何年か経ちその新鮮味が薄れるにつれ人気の方も下降線をまっしぐら。さらに悪いことには64年に軍事クーデターが起こるなど、シャレの通じないシリアスな空気がリオを支配するに至り、社会性皆無な音楽ということで時代遅れのレッテルを貼られた揚げ句に闇へと葬り去られてしまいました(合掌)。とはいうものの、ボサノヴァのムーブメントによって登場してきた半素人ミュージシャンの多くは今やすっかり腕の立つプロに成長しており(しかもまだ満開ではない)、このままオメオメと引き下がってタマるかい!という気概でもって音楽活動を続行していきます。

彼らのその後の歩みについては、ナラ・レオンのように社会派宣言をしてプロテスタント・ソングに明け暮れる人や、海外(主にアメリカ)へ渡って現地のジャズメンと交流を深める人もいたりと各人マチマチなのですが、差し当たっては、政治よりもゼニ儲けに夢中なサンパウロへと活動の拠点を求める人が多かったようです(もちろんボサ魂を秘めつつ)。そしてこれが地元のナウイ学生達から熱狂的に受け入れられ、ここを本拠地として再びボサノヴァは息を吹き返すことになります。ちなみに、ここでのボサノヴァ・ブームも結局2年足らずと僅かではありましたが、それは下火になって消えたというより、多くの若き才能によってMPBへと発展させられた、と考えるべきでしょう。

サンパウロでの盛り上がりは主にパラマウンチ劇場におけるコンサートが柱になっていたのですが、それらは大抵の場合、何組ものアーティストが大挙して出演するというヨダレものなステキ企画で、64〜65年の間に同種の催しは何度となく行われたそうです。主催者は地元の学生たち&ラジオの人気パーソナリティ、ヴァルテル・シルヴァだったとのこと。で、それらの模様はRGEから10枚ほどライブ盤としてリリースされたのですが、現在はそのうちの4枚をCDで聴くことができます。このシリーズはハッキリ言ってどれも甲乙付け難い傑作ばかりなのですが、中でも個人的にオススメなのが、この「オ・フィノ・ダ・ボッサ」でございます。

まずは本盤、いつも泣きそうな歌い方が印象的なアライージ・コスタによる「Onde E sta Voce」で幕を開けます。「幕を開ける」という言い方がいかにもピッタシな格調高いマッタリとした曲調。これが彼女の泣きっぷりと見事にマッチして琴線にバシバシ触れてきます。もうノッケからクライマックス気分は満点といった感じ。ボサノヴァのイメージとはちょっと違ったテイストで、中学校の合唱コンクールでも歌われそうな雰囲気をもっていますが(O.C.ネヴィス作)、あまりにも感動的なため私は聴く度に泣いてます。素晴し過ぎる。。。。アライージ自身もだいぶ気に入っていたらしく、繰り返しこの曲をレコーディングしていますが、私の印象ではこのライブ録音がベストだと思います。お客さんもよく心得たもので、拍手のタイミングがドンピシャリ。ステキに気分を盛り上げてくれます。皆さんもどうぞ泣いてください。

そして地元サンパウロのジャズサンバシーンの牽引者、ジンボ・トリオによる「イパネマの娘」のタイトな演奏を経て、これまたジモティーの雄、パウリーニョ・ノゲイラが登場。実にチャーミングなギター・インストを披露します(但し風貌はオールバック&ヒゲと男臭い)。ボサノヴァのギタリストというと、大抵は天才バーデン・パウェルの名前が真ッ先に挙がりますけど、風貌と裏腹な可愛いギタープレイが最高に魅力的なパウリーニョさんの事もどうかお忘れなく!地味ながらも本当に良い作品を残しているので是非ともCD化して欲しいものです。ここではサンバを中心にしたメドレーをシンプルな演奏で聴かせてくれますが、締めくくりの「Bossa Na Praia(アストラッドの「ビーチ・サンバ」として有名)」はまさに彼の真骨頂と言えましょう。良質なネオアコにも通じる青春な匂いにこれまた胸キュン必至です。

一方、「女バーデンパウェル」の異名を持つロジーニャも頑張ってます。6分以上に渡る「Consolacao」の熱演は本家を彷彿とさせる骨太っぷり。この人のリーダー作も何故かまったくCD化されず残念です。その後ソロデビュー以前の若きジョルジュ・ベンが堂々とした歌いっぷりで会場を沸かせ(裏声を多用したあの独特なスタイルは既に確立されている)、愛おしさ満点のワンダ・サーや政治感れ真っ只中のナラ・レオンなどお馴染みの人気者に続いていく辺りの流れは豪華そのものです。そうそう。アナ・ルシアなんていうマニアックなサンバ・カンソン歌手による「Tem Do」(ここでの彼女は歌い上げ過ぎずとてもいい感じ)も収録されてます。

そしてラストはオスカル・カストロ・ネヴィスによる「Berimbau」。クラシックを聴いているのかと錯覚してしまうようなイントロ部のピアノソロは意欲を感じさせるものの正直言ってちと退屈。しかし本編に入ると演奏は一変してガツンと気合いがこもり会場は一気にヒートアップ。もちろん俺だって熱いぜコンチクショー!なんてCDを聴いてる方も思わず一体になってしまいます。そして9分を越える激しい演奏の後お客さんのヤンヤの大喝采とともに本盤は幕を下ろすわけですが、演奏、構成、お客のノリ、そして録音状態など、どれをとっても満足できる充実の一枚ですので、未聴の方はゼシお試しください。

  1. Onde Esta Você - Alaide Costa
  2. Garota de Ipanema - Zimbo Trio
  3. Seleção de Samba:
       ~ Gosto Que Me Enrosco
       ~ Agora e Cinza
       ~ Duas Contas
       ~ Bossa Na Praia
      - Paulinho Nogueira
  4. Tem Do - Ana Lucia
  5. Consolação - Rosinha de Valenca
  6. Chove Chuva - Jorge Ben
  7. Desafinado - Wanda
  8. Maria Moita - Nara Leão
  9. Berimbau - Oscar Castro Neves

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