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2005年05月23日

O Melhor Do Globo Rural [A História Da Música Caipira]

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TV GLOBOの田舎レポート番組のDVDに「ムジカ・カイピーラの歴史」という番組が収録されている。2003年8月に放送されたもの。実に興味深い映像を見る事ができる。なんと、あのノエル・ローザが......

ムジカ・カイピーラの番組に、なぜノエルが登場するのか。彼の初期の曲「Minha Viola」は、1929年に録音されていますが、形式は"Embolada"と表記されています。聴いてみると立派なムジカ・カイピーラなんですね。んで、この頃彼自身もメンバーだった「Banda de Tangarás」というバンドが有りました。他のメンバーにジョアン・ヂ・バロやアルミランチがいたというすごいバンドなわけですが、ここで見られる映像はこのバンドの演奏です。全員が農夫風の扮装をしていて、ボーカルはアルミランチ、ノエルは後ろでギターを弾いています。曲名はわからないのですが、バンドの名前を織り込んだコミカルなエンボラーダ。1932年にアルミランチのボーカルでエンボラーダスタイルの曲を吹き込んでいるので、その頃の映像かもしれません。始めて見た動くノエル・ローザが、ムジカ・カイピーラを演奏しているってのは、かなりの衝撃映像。

他には、
●始めて録音されたムジカ・カイピーラ
●ムジカ・カイピーラの主要な地域と代表的なミュージシャン
●ムジカ・カイピーラのハーモニー
●ヴィオラ・カイピーラのチューニング
など、興味深い小ネタが満載。

登場するミュージシャンたちもそうそうたるメンツで、現役の大物はみんな出てるんじゃないかと思われるほどです。

そうそう、噂だけ聞いていた、ミリオナリオ&ジョゼ・リコの中国公演の映像もありました。観客は大興奮、とても盛り上がってます。この講演の大成功で中国ではセルタネージャが大人気なんだそうです。(恵比寿の中南米音楽にセルタネージャを買いにきた中国人が現れたという後日談も有ります。)

字幕がないので、深いところまでは理解できていませんけど、音だけでなく、背景に有る文化や生活を映像で見ながらムジカ・カイピーラの歴史に触れる事ができる貴重なドキュメンタリーです。

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他にも数編の番組が収録されています。ミナスでの「ヨーグルトとポン・ヂ・ケージョの作り方」ってのも面白かったですね。「ブラジルのフルーツ」って番組が面白そうだなと思ってみると「ジャブチカバの防虫対策」とか「アサイーの受粉の仕方」とか「カジューの苗の作り方」とかでした。農村レポートだもんね。

2005年05月21日

V.A. / O Fino da Bossa

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(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)

text by カリオカ龍太郎

58年に産声をあげて以来、リオのオシャレさん御用達ミュージックとして愛されたボサノヴァですが、何年か経ちその新鮮味が薄れるにつれ人気の方も下降線をまっしぐら。さらに悪いことには64年に軍事クーデターが起こるなど、シャレの通じないシリアスな空気がリオを支配するに至り、社会性皆無な音楽ということで時代遅れのレッテルを貼られた揚げ句に闇へと葬り去られてしまいました(合掌)。とはいうものの、ボサノヴァのムーブメントによって登場してきた半素人ミュージシャンの多くは今やすっかり腕の立つプロに成長しており(しかもまだ満開ではない)、このままオメオメと引き下がってタマるかい!という気概でもって音楽活動を続行していきます。

彼らのその後の歩みについては、ナラ・レオンのように社会派宣言をしてプロテスタント・ソングに明け暮れる人や、海外(主にアメリカ)へ渡って現地のジャズメンと交流を深める人もいたりと各人マチマチなのですが、差し当たっては、政治よりもゼニ儲けに夢中なサンパウロへと活動の拠点を求める人が多かったようです(もちろんボサ魂を秘めつつ)。そしてこれが地元のナウイ学生達から熱狂的に受け入れられ、ここを本拠地として再びボサノヴァは息を吹き返すことになります。ちなみに、ここでのボサノヴァ・ブームも結局2年足らずと僅かではありましたが、それは下火になって消えたというより、多くの若き才能によってMPBへと発展させられた、と考えるべきでしょう。

サンパウロでの盛り上がりは主にパラマウンチ劇場におけるコンサートが柱になっていたのですが、それらは大抵の場合、何組ものアーティストが大挙して出演するというヨダレものなステキ企画で、64〜65年の間に同種の催しは何度となく行われたそうです。主催者は地元の学生たち&ラジオの人気パーソナリティ、ヴァルテル・シルヴァだったとのこと。で、それらの模様はRGEから10枚ほどライブ盤としてリリースされたのですが、現在はそのうちの4枚をCDで聴くことができます。このシリーズはハッキリ言ってどれも甲乙付け難い傑作ばかりなのですが、中でも個人的にオススメなのが、この「オ・フィノ・ダ・ボッサ」でございます。

まずは本盤、いつも泣きそうな歌い方が印象的なアライージ・コスタによる「Onde E sta Voce」で幕を開けます。「幕を開ける」という言い方がいかにもピッタシな格調高いマッタリとした曲調。これが彼女の泣きっぷりと見事にマッチして琴線にバシバシ触れてきます。もうノッケからクライマックス気分は満点といった感じ。ボサノヴァのイメージとはちょっと違ったテイストで、中学校の合唱コンクールでも歌われそうな雰囲気をもっていますが(O.C.ネヴィス作)、あまりにも感動的なため私は聴く度に泣いてます。素晴し過ぎる。。。。アライージ自身もだいぶ気に入っていたらしく、繰り返しこの曲をレコーディングしていますが、私の印象ではこのライブ録音がベストだと思います。お客さんもよく心得たもので、拍手のタイミングがドンピシャリ。ステキに気分を盛り上げてくれます。皆さんもどうぞ泣いてください。

そして地元サンパウロのジャズサンバシーンの牽引者、ジンボ・トリオによる「イパネマの娘」のタイトな演奏を経て、これまたジモティーの雄、パウリーニョ・ノゲイラが登場。実にチャーミングなギター・インストを披露します(但し風貌はオールバック&ヒゲと男臭い)。ボサノヴァのギタリストというと、大抵は天才バーデン・パウェルの名前が真ッ先に挙がりますけど、風貌と裏腹な可愛いギタープレイが最高に魅力的なパウリーニョさんの事もどうかお忘れなく!地味ながらも本当に良い作品を残しているので是非ともCD化して欲しいものです。ここではサンバを中心にしたメドレーをシンプルな演奏で聴かせてくれますが、締めくくりの「Bossa Na Praia(アストラッドの「ビーチ・サンバ」として有名)」はまさに彼の真骨頂と言えましょう。良質なネオアコにも通じる青春な匂いにこれまた胸キュン必至です。

一方、「女バーデンパウェル」の異名を持つロジーニャも頑張ってます。6分以上に渡る「Consolacao」の熱演は本家を彷彿とさせる骨太っぷり。この人のリーダー作も何故かまったくCD化されず残念です。その後ソロデビュー以前の若きジョルジュ・ベンが堂々とした歌いっぷりで会場を沸かせ(裏声を多用したあの独特なスタイルは既に確立されている)、愛おしさ満点のワンダ・サーや政治感れ真っ只中のナラ・レオンなどお馴染みの人気者に続いていく辺りの流れは豪華そのものです。そうそう。アナ・ルシアなんていうマニアックなサンバ・カンソン歌手による「Tem Do」(ここでの彼女は歌い上げ過ぎずとてもいい感じ)も収録されてます。

そしてラストはオスカル・カストロ・ネヴィスによる「Berimbau」。クラシックを聴いているのかと錯覚してしまうようなイントロ部のピアノソロは意欲を感じさせるものの正直言ってちと退屈。しかし本編に入ると演奏は一変してガツンと気合いがこもり会場は一気にヒートアップ。もちろん俺だって熱いぜコンチクショー!なんてCDを聴いてる方も思わず一体になってしまいます。そして9分を越える激しい演奏の後お客さんのヤンヤの大喝采とともに本盤は幕を下ろすわけですが、演奏、構成、お客のノリ、そして録音状態など、どれをとっても満足できる充実の一枚ですので、未聴の方はゼシお試しください。

  1. Onde Esta Você - Alaide Costa
  2. Garota de Ipanema - Zimbo Trio
  3. Seleção de Samba:
       ~ Gosto Que Me Enrosco
       ~ Agora e Cinza
       ~ Duas Contas
       ~ Bossa Na Praia
      - Paulinho Nogueira
  4. Tem Do - Ana Lucia
  5. Consolação - Rosinha de Valenca
  6. Chove Chuva - Jorge Ben
  7. Desafinado - Wanda
  8. Maria Moita - Nara Leão
  9. Berimbau - Oscar Castro Neves

ROBERTO SILVA / DESCENDO O MORRO 1~4

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(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)
 ロベルト・シルヴァの「裏山を下りながら」というシリーズ。第1・2集が昨年CD化され、今年に入って第3・4集がCD化された。どちらも、メタ・カンパニーから日本語解説付で出されている。

 ロベルト・シルヴァは1920年生まれで、10代の頃からプロの歌手として活躍していた人。40年代後半に、シロ・モンテイロとコンビでラジオ出演をしてサンバ歌手として知られるようになった。

 この4枚のアルバムは、30~40年代のサンバを中心に60年頃に録音されたもので、ブラジルではずいぶんヒットしたらしい。ロベルト・シルヴァは、良い声でストレートに歌う人で、まぁ個性には乏しいけれど、曲の魅力をストレートに伝えてくれるクルーナー系の実力派。当時最高の伴奏陣をバックに、実に軽やかに歌っている。

 その伴奏陣というのが、後にカルトーラのアルバム等で素晴らしい演奏を聴かせてくれた、アルタミロ・カヒーリョ、ラウル・ヂ・バロス、ヂノ、メイラ、カニョート、マルサル、ルナ、エリゼウといった人たちらしい。

 アルバム製作時でさえすでに懐古的な企画だったはずなのに、今聴いても実に新鮮で古びた感じがしない。30~40年代の曲は、SP盤からの復刻ではさすがに音質的にもきついものがあるし、アレンジも古くさく聞こえるが、これなら大丈夫。これからサンバを聴いてみたいという人にもお勧め。

 ちなみに、ロベルト・シルヴァはまだ健在で、人気シリーズ「カザ・ヂ・サンバ」の第2集でフェルナンダ・アブレウとデュエットしています。

  1. Indecisao
  2. Risoleta
  3. Juracy
  4. A Mulher de Seu Oscar
  5. Seu Liborio
  6. Agora e Cinza
  7. Pinsei Num Despacho
  8. Ai! Que Saudade de Amelia
  9. Falsa Baiana
  10. Emilia
  11. Bebida, Mulher e Orgia
  12. A Voz do Morro
  13. Aos Pes da Cruz
  14. Chora Cavaquinho
  15. Se Acaso Voce Chegasse
  16. Bons Tempos
  17. Voce Esta Sumindo
  18. Cabelos Brancos
  19. A Mulher Que Eu Gosto
  20. Passei dos 32
  21. Normelia
  22. Escurinho
  23. Rugas
  24. Maria Thereza
  1. Curare
  2. Domine a Sua Paixao
  3. Um Juramento Falso
  4. Beija-me
  5. Palpite Infeliz
  6. Boogie-Woogie na Favela
  7. Amanha eu Volta
  8. Uma Dor e Uma Saudade
  9. Aquele Blirhetinho
  10. Meu Pecado
  11. Errei. Erramos
  12. Um Caboclo Abandonado (Rolinha Triste)
  13. Mae Solteira
  14. Crioulo Sambista
  15. Noticia
  16. Nao Faco Esse Papel
  17. O Jornal da Morte
  18. Preguica
  19. O Merito do Perdao
  20. Perdi Voce
  21. Sombra do Passado
  22. Adeus. Amor!
  23. Nossa Vida
  24. Degraus da Vida

DANIELA MERCURY / Sol da Liberdade

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text by かわべ

(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)
1965年7月28日にバイーア、サルバドールで生まれたダニエラ・メルクリは、13歳の頃からダンサーや歌手として活動していたと言うから、芸歴は20年。元SPEEDの島袋寛子ちゃんもダニエラの境地に達するまで、まだ20年もかかっちゃうのね。ちなみに最初に歌ったのはジルベルト・ジルのバックボーカルだったそう。

前作のライブ盤「エレトリカ」が商業的には芳しくなかったらしく、このアルバムが正念場。という訳でもないだろうが、実に色んな事に手を出して...もとい、挑戦しています。彼女のような人は”売り上げ”によって活動範囲が制限されてしまうかと思うとちょと残念な気がします。このアルバムがあんまり売れなかったら、もしかすると次作は出せなくなってしまうのでは...?そんな事を思うとちょっと悲しいです。しかし、内容は”フェイジョン・コン・アホイス”に匹敵するくらい面白いと思います。僭越ながら、かいつまんでご紹介を。

自作のタイトル曲、1.ではダニエラが「歌声を聴くとブラジルを感じる」というミルトン・ナシメントと共演。

バイーアのリズムでチンバウが唸る2.、3.とヒット曲路線が続きます。イヴェッチ・サンガロやバンダ・ベイジョのジルに押され気味と言われたりもしますが、やっぱり”ダニエラは別格”と言い切ってしまいましょう。

6.ではラップまで披露。こういう事をすると新境地に挑戦、というか”ちょっと必死”って気がしないでもないですが...。と思ったら”ムージカ・ヂ・フア”でもラップやってましたね。失礼。

7.は今夏公開される「オルフェ」のサントラにも収められているカエターノの曲。日本でも弾き語りのレパートリーにする人が増えるかも?

レニーニのよる10.は、”いかにもレニーニな”曲だ。共演してたらもっと面白かったかも。

カエターノのバンドで有名なルイス・ブラジルのヴィオラゥンでしっとりと歌う、ロベルトーエラズモ・カルロスによる12.。ダニエラはこういう事も出来るんです。

そして13.のベト・ジャマイカはなんとあの”エ・オ・チャン”のリードボーカルだそうな。日本とハワイとジャングルを脳天気パゴーヂにしてしまうかと思ったら、こんな芸当も出来るとは。心を入れ替えて”エ・オ・チャン”をチャンと聴いてみれば結構イケるかも。

このアルバムが売れるかどうかは日本から見守るしかないが、出来るなら次作も聴いてみたい、出来るなら日本でライブも観てみたい。その為には、とりあえずブラジルでヒットしてくれるのを願うばかりだ。

  1. Sol da Liberdade
  2. Groove da Baiana
  3. Ilê Pérola Negra
  4. Santa Helena
  5. Axé Axé
  6. Itapua~ Ano 2000
  7. Sou Você
  8. Dara
  9. Funk na Decepção
  10. Sóno Balanço do Mar
  11. Viagem
  12. De Tanto Amor
  13. Crença e Fé
  14. Ilê Pérola Negra (Club Mix)

CEUMAR / Dindinha

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(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)
最近の新譜では、今のところ一番のお気に入りになっている、サンパウロの新人女性シンガー、セウマール。北東部系の音楽を背景に持っているようだけど、地方色を特徴にしているわけではなく、やわらかくて力強くて美しい音楽を作り出している。プロデュースはゼカ・バレイロ。ゼカ以外にイタマール・アスンサォン、シコ・セーザル、ヴァンジ・ミレー等、サンパウロの人脈が参加している曲もある。

冒頭の曲「ヂンヂーニャ」は、そのゼカの曲だけど、切なく郷愁を誘うメロディー、柔らかく包み込むようなサウンドが実に心地よいというか、心洗われるような清々しさ。曲そのものの魅力と澄んだ空気のようなアレンジ、そしてセウマールの優しさと強さを併せ持った唄。今年のベストソングはこれに決めた。

自作以外に、ゼ・ハマーリョ、シコ・セーザルや、シニョーの古いサンバ、ルイス・ゴンザーガの曲など、選曲も面白く、このあたり本人のセンスなのかゼカのセンスなのか...。ゴンザーガの「オリャ・プロ・セウ」は、セウマール自身の多重録音で、まったく違ったイメージの曲に生まれ変わっている。この曲の中にこんな魅力があったなんて、実に新鮮な驚きを感じさせてくれるバージョンが生まれた。

とにかく、アルバム全体に広がる空気感が素晴らしい。透明感と潤いなんて、化粧品の広告のようだけど、まさにそんな感じなのだ。どこまでも広がる地平線と、朝のひんやりと湿った空気。音楽に身を預ける心地よさを再認識させてくれる傑作だと思う。

  1. Dindinha
  2. Banzo
  3. Galope Rasante
  4. Cantiga
  5. Maldito Costume
  6. As Perigosas
  7. Boi De Haxixe
  8. Rosa Maria
  9. Geofrey, A Lenda Do Ginete
  10. Girias Do Norte
  11. Pecadinhos
  12. Olha Pro Ceu
  13. Let It Glow

TOM JOBIM / Raros Compassos

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(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)
以前にジョビンの初期作品集を出したブラジルのREVIVENDOレーベルから、またとんでもないものが出ました。なんと3枚組のレアトラック集。50年代末から60年代初頭にかけて、彼の曲を録音した有名無名のアーティストが76トラックも登場します(一部80年代の録音)。

ちょうどこの頃、ボサノヴァが生まれて一気にブームを迎える時期にあたるわけだけど、当のジョビンの仕事振りってのは、実は良くわからなかったんですね。当時はまだオデオンの社員だったはずで、いくらボサノヴァブームとは言え、そうそう仕事を選んでもいられなかったはず。また、逆にブームに便乗してジョビンの曲を歌いたがる歌手たちも多勢いたはずだし、さぞかし忙しかったんだろうなぁと想像されます。

中には結構な珍品も混じっています。たとえば、1964年録音のステリーニャ・エッグという歌手の歌う「ソ・ダンソ・サンバ」はSanba-Ranchoって表記になってますが、なんだか摩訶不思議なマーチングバンドのよう。

逆に1956年録音のエドゥというハーモニカ奏者の「ドミンゴ・シンコパード」なんて曲は、ボサノヴァだって言われても違和感を感じないもので、録音時期を考えると非常に興味深いですね。ちなみに作曲はジョビンとボンファの合作。

ヴィセンチ・セレスチーノは古いブラジル歌謡の人気歌手で、朗々と歌うスタイルがボサノヴァ世代から揶揄されて、「ボサノヴァの歴史」の中でも、ひどい扱いを受けてる人です。彼の歌う「シ・トドス・フォセン・イグアイス・ア・ヴォセ」を聴けば、この世代間の違いがどこにあるのかすぐにわかります。

レオ・パラッキの3曲は、「コーヒー・デライト」「ラテン・マンハッタン」「ムーンライト・ダイキリ」と観光気分いっぱいのイージーリスニング。なかなかの出来です。1958年の録音。

そして、超大目玉が Duo Mara e Cota というムジカ・カイピーラの女性デュエット。これがなんとシルヴィア・テリスと前述のステリーニャ・エッグの変名によるもので、アロイージオ・ヂ・オリヴェイラがオデオン本社からヒット作を出せと言う圧力を受けてでっちあげた存在しないグループ。SP盤1枚を残したのみで、しかもヒットはしなかったらしい。歌っているのは、「エウ・セイ・キ・ヴォウ・チ・アマール」と「エウ・ナン・イジスト・セン・ヴォセ」。どちらも、完全にセルタネージャ風にアレンジされていて、元の曲の面影は無い。ある意味、見事な改変ではあると言えます。録音は1959年。ちなみに当時25歳のシルヴィーニャ、前年に「エウ・ナン・イジスト・セン・ヴォセ」をルーシオ・アルヴィスとのデュエットで、「エウ・セイ・キ・ヴォウ・チ・アマール」は59年の春に録音しています。

てなわけで、3枚組6千円強というお値段で、なかなかお勧めはしにくいものですが、裏ジョビン集としては内容ボリュームとも現在最強の物ではあります。

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Nerson Sargento, Guilherme De Brito, Monarco and more / Velhas Companheiras - サンバの古き仲間たち

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(アルバム・レビュー・アーカイブより転載)
ブラジルでも高い評価を得ている田中勝則氏のプロデュースによるサンバの新作。しかもメジャーレーベルからの発売だ。日本のメジャーレーベルからサンバの新作が出るなんて、いったい何年ぶりのことか。これはもう快挙と言っていいできごと。

ネルソン・サルジェント、ギリェルミ・ヂ・ブリート、モナルコ。サンバ好きならこの名前が並んでいることに心が震えないわけが無い。ジャケットに並ぶ3人の写真はどうだ。何度か引退を発表したはずのギリェルミ爺は相変わらずお洒落できりっとしてるし、歯が抜けちゃってるネルソン爺も顔艶も良く、モナルコ兄いはやっぱ相変わらず。こんな写真見ただけで嬉しくなっちゃう。店頭でCD持って、にやけてる人がいたらお仲間間違い無し。他にもウィルソン・モレイラ、クリスチーナやアス・ガッタスとサンバの伝統を守りつづける人たちが参加している。

アーチストや曲ごとの詳しい解説は、田中さんのライナーノーツを読んでもらえばいいんだけど(お勉強にもなるよ)、70年代日本でのサンバブームのきっかけにもなった「クアトロ・グランヂス・ド・サンバ」や「サンバの素晴らしき仲間たち」を好きな人なら間違い無く気に入るはず。ブラジルでもパゴーヂのヒットからサンバが再認識されて、また人気が出てきてるそうだけど、それでもこんな企画のアルバムはなかなか作られない。地球の反対側にいて、現地でも聴けない本物のサンバを聴けるなんてのも、考えてみれば妙なもんだね。最近、日本録音のギリェルミ・ヂ・ブリートとネルソン・サルジェントのアルバムも再発されたことだし、今年はサンバをもう一度聴きなおしてみよう。

2005年05月13日

Quatro a Zero / Choro Elétrico

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電気仕掛けのショーロ? いえいえ、いたってまともです。

エレキ・ギターやエレキ・ベースを使ってショーロ演奏するグループ。といっても、バンドリンやカヴァキーニョ、7弦ギターも使うし、決して奇をてらった音楽をやっているわけではない。普段自分たちの周りにある楽器を、ごく自然に使ってみましたという雰囲気だ。むしろ、楽器編成よりも聞き慣れた曲の施された斬新なアレンジの方に面白さを感じた。伝統を守りながら新しい音楽を作ろうという意欲にあふれた若々しいエネルギーを感じる。ショーロもちょっと聞き飽きたかなぁなんて感じている人にぜひ聴いてもらいたい。

※オフィス・サンビーニャから日本語解説付きで発売されています。

Los Hermanos no Cine Iris

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ロス・エルマーノス、2004年6月のライブDVD。ボーナストラックは約1時間に及ぶ練習風景。これが意外と面白い。

ブラジルのライブらしく頭から全力で歌う観客。ノリノリのイケイケ状態で会場のうねりまで伝わってくるようだ。以前のDVDは「ルアウ」という海岸でアコースティックな編成でやる企画ものだったので、今回はロス・エルマーノスの本来の姿を見ることが出来るというわけだ。

フロントの二人マルセロ・カメーロとロドリゴ・アマランチがソングラインティングとボーカルをほぼ半々に分けて担当。笑わず騒がずいつもクールなキーボードのブルーノ・メヂーナ。小柄なドラマー、ロドリゴ・バルバ。この4人にサポートメンバーとして、ベースのガブリエル・ブブー。ホーンセクションは、トランペットのブブー、バリトン・サックスのマルセロ・コスタ、トロンボーンのマウロ・ザカリアスの3人。見た目はオヤジくさく見えるが、メンバーはみんな20代半ば、ホーン陣が30代前半という若さ。ほぼ固定メンバーで、スタジオでも同じメンバーでやっているのでコンビネーションはばっちり。ライブだからといって音がしょぼくなることもない。

ロス・エルマーノスの曲は、ちょっとへんてこで切ないメロディーとか、中世のヨーロッパを連想させるようなホーンアレンジとか、一筋縄ではいかないところが有って、これがハマるとけっこうクセになる。マルセロ・カメーロの曲は、ひねくれたこのバンドの個性を際立たせている。一方のロドリゴ・アマランチの曲は、ずっとストレートだが、より内面に訴えかけてくるものがある。「センチメンタル」は、観客の心を鷲掴みにしているようだ。また、映像でみていると特に興味深いのがドラマーのロドリゴ・バルバ。コンパクトでメロディアスなドラミングがとても心地いい。

ステージは全20曲。デビュー時に「パンクとサンバ・カンソンの融合」などと言われていたが、実にいい曲が揃っていて、ブラジル音楽ファン以外にも聴いてもらいたいバンドだ。

ボーナストラックは、アルバム「ヴェントゥーラ」のリハーサル風景。なんと1時間。しかしこれがうまく編集されていて、面白いドキュメントを見ているようで楽しめる。あの不思議なホーンアレンジが出来ていく過程なども見ることが出来る。プロデューサーのカシンも登場。

2005年05月10日

V.A. / Codinome Cazuza

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以前ボックセットに収録されていた、カズーザのカバー・コンピレーション・アルバムが単体でリリースされた。

この手のコンピではおなじみのガル・コスタの「Brasil」にはじまり、全12トラック。

Brasil / Gal Costa
Solidão, Que Nada / Kid Abelha
Codinome Beija Flor / Luiz Melodia
Por Que A Gente É Assim? / Ney Matogrosso
Blues Da Piedade / Sandra De Sá
Malandragem / Cássia Eller
Só Se For A Dois / Elba Ramalho
Todo Amor Que Houver Nessa Vida / Leila Pinheiro
Guerra Civil / Ritchie
Preciso Dizer Que Te Amo / Marina Lima
Perto Do Fogo (Ao Vivo) / Rita Lee
Doralinda / Cazuza

ちょっと意外なエルバ・ハマーリョを除けば、カズーザの曲の表現者としておなじみ顔ぶれ。大物アーチストに混じってキッヂ・アベーリャがなかなか健闘している。最後のトラックは、カズーザとジョアン・ドナートの共作曲で、カズーザのアルバムにはおさめられていない。普段カズーザなど聴くことのないであろう、ドナートのファンの耳にも十分に楽しめるトラック。アルバムの最後にして最高のパフォーマンスを聴くことができる。

Cadão Volpato / Tudo que eu quero dizer tem que ser no ouvido

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Funziona Senza VaporeやBanda Feliniというバンドのボーカリストでもある、カダン・ヴォルパート。雑誌やテレビでジャーナリストとしての活動もしているらしい。彼のソロプロジェクトとしての今回のアルバムは、Banda Felini での音楽をより個人的な空間に展開したといった趣き。ギターやコーラスの多重録音による残響感のある空間の中で、訥々と歌う中年男。

2005年05月09日

V.A. / Um Barzinho Um Violão - Jovem Guarda

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バールのステージを再現してみましたシリーズの第5弾は、ジョーヴェン・グアルダの曲を集めたもの。

ジョーヴェン・グアルダというのは、1963年頃から若者たちに人気のあったテレビ番組のタイトルで、ロベルト・カルロスやエラズモ・カルロス、ヴァンダルレアといったロック&ポップス系のミュージシャンが出演し、同時期のボサノヴァと若者の人気を二分するほどだった。そこから、このジャンルの音楽をジョーヴェン・グアルダと呼ぶようになった。日本ではこのジャンルの音楽はあまり聴かれてこなかったので、こんなカバー企画を聴いてもそもそもオリジナルを聴いたことがないということになって、面白さも半減してしまうのが残念なところ。特に解説もついていないので、各曲のオリジナルに関してわかる範囲で調べてみたので参考にしてほしい。

01 : Só Vou Gostar De Quem Gosta De Mim / Caetano Veloso
ロベルト・カルロスの1967年4月にリリースされたドリーミーな曲。カエターノはオリジナルよりもぐっとテンポを落として歌っている。

02 : Esqueca / Daniela Mercury
ボビー・ライデルが歌って1963年に全米で大ヒットした曲「Forget Him」がオリジナル。ブラジルでは、ロベルト・カルロスが1966年6月にシングル盤をリリース、翌年までヒットしていた。

03 : Pensando Nela / Roupa Nova
イギリス、マンチェスター出身のバンド、ホリーズのヒット曲「Bus Stop」がオリジナル。66年に英・米で大ヒットし、日本でも3枚目のシングルとして発売されヒットした。ブラジルでは、ゴールデン・ボーイズが67年1月にシングル盤をリリース。

04 : Coração De Papel / Luiza Possi
今ではセルタネージャの大スターになったセルジオ・レイス、66年12月にリリースされたヒット曲。曲も彼自身の作品。

05 : Lobo Mau / Sideral
ディオンの「Wanderer」(61)がオリジナル。翌62年にレナート&セウ・ブルー・キャップスがカバーしているが、67年にロベルト・カルロスがテレビで歌ってヒットした。

06 : O Ritmo Da Chuva / Fernanda Takai E Rodrigo Amarante
日本でも「悲しき雨音」というタイトルで大ヒットしたカスケーズの「Ryhthm of The Rain」(63)。ブラジルではデメトリウスが自作の歌詞をつけて64年1月にカバーした。パト・フーのフェルナンダ・タカイとロス・エルマーノスのロドリゴ・アマランチのデュエット。

07 : Quando / Babado Novo
ロベルト・カルロスのオリジナル曲。1967年の映画「Roberto Carlos Em Ritmo De Aventura」で使われ同名のアルバムに収録されている。

08 : Se Você Pensa / Pedro Mariano
エリス・レジーナの歌でよく知られているが、オリジナルはロベルト・カルロス。1968年のアルバム「O Inimitável」に収録されている。エリスの息子、ペドロ・マリアーノはテンポを落として、この曲の新しい魅力を引き出している。

09 : Vem Quente Que Eu Estou Fervendo / Wilson Simoninha
エドアルド・アラウジョとカルロス・インペリアルの曲。1967年4月にエラズモ・カルロス、5月にアラウジョ自身がシングル盤をリリースしている。

10 : Coqueiro Verde / Zeca Pagodinho
オリジナルはエラズモ・カルロス。1970年のアルバム「Erasmo Carlos E Os Tremendões」に収録されている。この時にバックにトリオ・モコトーが参加していて、彼らもこの曲を自分たちで録音している。ここでは、なんとゼカ・パゴヂーニョが歌っているが、意外と悪くない。

11 : Erva Venenosa / Sandra De Sá
コースターズが歌ってヒットした「Poison Ivy」がオリジナル。ゴールデン・ボーイズが64年12月にカバーしている。

12 : Vendedor De Bananas / Ney Matogrosso
ジョルジ・ベンの曲だが、最初に録音したのはオス・インクリヴェイスで67年のアルバムに収録されている。

13 : O Vagabundo / Engenheiros Do Hawaii
この曲のオリジナルが誰なのかよくわからないが、ドイツのリッキー・シェイン (Ricky Shayne) という歌手が歌っているようだ。オス・インクリヴェイスで69年のアルバムに収録されている。

14 : Você Pediu E Eu Já Vou Daqui / Nando Reis
アントニオ・マルコスの名バラード。ロベルト・カルロスらにも曲を提供しながら自身でもヒット曲を出していたアーチストで、1969年のファーストアルバムに収録されている。

15 : Sentado À Beira Do Caminho / Fernanda Porto
ロベルト・カルロス/エラズモ・カルロスの作品。[10]と同じ1970年のアルバム「Erasmo Carlos E Os Tremendões」に収録されている。

16 : Namoradinha De Um Amigo Meu / Biquini Cavadao
ロベルト・カルロスの曲で[2]と同じ1966年12月リリースのアルバムに収録されていて、翌年1月にシングルカットされヒットした。なんとこの曲は、日本で西郷輝彦やローザ三宅がカバーバージョンを出している。