ALO,ALO,BRASIL

名曲アルバム:006

Carinhoso/カリニョーゾ

text by 《DINO》

「アザ・ブランカ」と並んで、ブラジルの大衆に愛されている曲「カリニョーゾ」。ピシンギーニャ作曲。曲自体は、1917年ごろに作られていたようですが、初めて録音されたのは1926年のこと。なんでも、当時ジャズの影響を受けすぎいていると非難され発表できなかったとか。今の耳で聞くとどこがジャズなんだかって感じですが、当時の感覚では相当モダンな曲だったんでしょう。後にジョアン・ヂ・バロによって歌詞が付けられ、オルランド・シルヴァによって歌曲として録音されたのが、1937年。それ以来、ブラジル大衆の愛唱曲として親しまれています。ちなみに、この時SPのカップリング曲として録音されたのは、同じくピシンギーニャの「薔薇(ROSA)」でした。何しろ有名な曲なので、星の数ほどの録音が残されています。「カリニョーゾ百選」なんて企画すらいとも簡単に実現できそうですが、ここは独断でお気に入りの「カリニョーゾ」をいくつかご紹介してみませう。


1:ORLANDO SILVA

歌曲としての最初の録音。サンバやショーロのオムニバス盤に収録されることも多く、古い録音にもかかわらず、比較的簡単に聴くことができます。かなり長い演奏のあと歌が出てきてかなりあっさりと終わってしまう印象が有りますが、その演奏は作者ピシンギーニャのバンドがやってるんですねぇ。1粒で2度おいしいってもんです。

2:PIXINGUINHA/ORQUESTA BRASILIA

ピシンギーニャの残したアレンジを再現するためにエンリッキ・カゼスによって編成されたオルケスタ・ブラジリア。金管楽器の入ったブラスバンド的な編成は、近年のショーロでは聴けないユニークなサウンドを聴かせてくれます。古くて新しくて暖かい、聴いてて幸せになれる音。

3:V.A./NAQUELE TEMPO

古いショーロやワルツの音源を集めたアルバム。この中に、伝説的ギタリスト、ガロートの録音が含まれています。1943年録音の「カリニョ-ゾ」は女性ピアニスト、カロリーナ・カルドーゾ・ヂ・メネゼスとの録音。これがまるでスチールギターのようなトーンで60年近くも昔の録音とは思えないモダンな演奏です。

4:A ENLUARADA ELIZETH/ELIZETH CARDOSO

エリゼッチ・カルドーゾ1967年のアルバムから。まさにお手本のような歌です。しかもここではピシンギーニャ自身が伴奏に参加しています。このアルバム、他にカルトーラやクレメンチーナ・ヂ・ジェズスもゲストで参加しているという、ブラジル人間国宝図鑑のようなアルバム。

5:ao vivo TEATRO JOAO CAETANO/ELIZETH CARDOSO

これまた、エリゼッチですが、有名なジョアン・カエターノ劇場でのライブ盤。歴史的なライブの大団円でこの曲が歌われます。しかも元々は予定に入っていなかったのを観客のリクエストに応えての演奏。もう会場中が一緒になって歌っています。すごい!!!

6:ELIS/ELIS REGINA

歌姫エリスがじっくりと歌います。ジャズファンク調の曲の中にオーソドックスなショーロ風の伴奏のこの曲が放り込まれていて、少し違和感が無いでもないですが、歌の出来は完璧。バックのアレンジも凝っていてなかなかよろしゅうございます。

7:VOCE ABSOU/MARIA CREUZA

初期のアルゼンチン録音。僕の個人的な歌姫は昔っからこの人。クールさと艶っぽさをこれほど見事に両立させてる人はそうはいないでしょう。ショーロの感覚を活かした弦入りのオーケストラ伴奏で優しく歌っています。

8:SAMANBAIA/CESAR CAMARGO MARIANO e HELIO DELMIRO

セザール・カマルゴ・マリアーノのエレピと、エリオ・デルミーロのギターによるデュオ・インストアルバム。伝統的にブラジルではインストゥルメンタルのアルバムは売れなかったのですが、このアルバムの評価が高く、それがきっかけになってインストのアルバムが多く出されるようになりました。この「カリニョーゾ」は、なまめかしく幻想的。機会が有れば是非一度聴いてみてください。