ALO,ALO,BRASIL

映画「ワンダーランド駅で」

t]ext by かわべ

昨年(1999年)は「セントラル・ステーション(原題:セントラル・ド・ブラジル)」「クアトロ・ディアス(原題:ウ・キ・エ・イッソ・コンパニェイロ?)」という2本のブラジル音楽が上映され話題となった。そんな1999年の年末から2000年の正月にかけてブラジル音楽ファンにはちょっと気になるアメリカ映画「ワンダーランド駅で(原題:ネクスト・ストップ・ワンダーランド)」が公開された。

関東では銀座テアアトル西友で単館ロードショーされ、日によっては満席で入場出来ない回もあったとか。ロビーでは「ALO,ALO,BRASIL BOSSA NOVA BASIC SELECTION」と題してサントラ盤を初めボサノヴァの名盤10枚が販売され、 ALO,ALO,BRASILの編集員によるコメントが付いたCDを手にとって購入していく人もちらほらと目にした。

肝心の映画の内容はなかなか「実験的な手法」を使ったものだった。テレビをみてたりすると、「電車で自分を痴漢と間違えた気性の激しい女性が、その日自分の部署に異動でやってきた!」とか「登校途中、曲り角から飛び出してきたヤツが自分のクラスに転校生でやってきた!」なんていう「そんな都合良く行くかっ!」と思わずつっこみたくなるような設定のドラマがあったりするが、この映画はその「真逆」をいくような内容だ。ヒロインの看護婦エリンと海洋生物学者をめざすアランは、「普通のドラマ」ならいつ出逢ってもおかしくないような状況にいながらなかなか出逢わない。昔の子供がドリフのコントを観ながら「志村!後ろ!」と叫んだように「エリン!後ろ、後ろ!」とでも言いたくなるようなすれ違いをこの映画では楽しんでしまうのだ。言ってみりゃ世の中、数多くの出合いもあるけどそれ以上にすれ違っている事だってあるんだから、こういう映画を誰かがやっても良かったくらいだよね。と思ってもこういうのは早い者勝ち。

音楽にはボサノヴァが使われていて映画のシチュエーションと歌の内容が無関係に流れてくるものもあるが、中には歌詞を知ってるとニヤリとしてしまう所もある。エリンが冒頭で恋人と別れて独りになってしまうのだが、そんな時にエリス・ヘジーナの歌う「トリスチ」が流れてくる。「~悲しみは孤独の中に住んでいる~」そんな歌詞がその時のエリンを表現するのにぴったりだ。

ボサノヴァが気になって観に行った人、映画を観に行ってボサノヴァが気になり始めた人。そのどちらにも楽しめる映画だと思いますので、もし近くで公開されたら観ても損はしないかもね。(かわべ)

ALO,ALO,BRASIL BOSSA NOVA BASIC SELECTION

サウンドトラックに登場するミュージシャンを中心にボサノヴァの名盤10枚をブラジル音楽専門ウェブマガジン「ALO,ALO,BRASIL」がセレクトしました。心地よいリズム。美しいメロディー。あなたの恋までの素敵な時間をボサノヴァが優しくつつんでくれるはず...

  1.  「ワンダーランド駅で」(サントラ)ベベウ・ジルベルトとヴィニシウス・カントゥアリアによる、英語とポルトガル語での名曲の新録をはじめ、ボサノヴァやどこかで聴いたあの曲、アート・リンゼイのどこか頼りないボーカルが印象的なオリジナルスコアなど、贅沢でお得なサントラ盤。映画のシーンを思い出してこのサントラを楽しんだ後は、ブラジルの音楽にもう1歩踏み込んで聴いてみることをオススメします。(かわべ)
  2.  ジョアン・ジルベルト&スタン・ゲッツ「ゲッツ/ジルべルト」世界で一番ポピュラーなボサノヴァのアルバム。アメリカ・ジャズ界のテナー・サックス奏者スタン・ゲッツがアストラッド、ジョアンのジルベルト夫妻とA,C,ジョビンを中心とした最高のボサノヴァ・ユニットを迎えて 1963年に録音されたあまりにも有名な1枚。実は曰く因縁の多いレコーディングだったそうだが、結局、ボサノヴァにとってもスタン・ゲッツにとっても良い結果を生み出したのではないだろうか。演奏、選曲、アレンジ、リズム、録音と どれを取ってもすばらしい。特にジャズが好きな方には入りやすいかも。(パウロ)
  3.  セルジオ・メンデス&ブラジル'66「マシュ・ケ・ナダ」 1960年代、アストラッド・ジルベルトと共に世界中でボサノヴァを流行させた張本人、セルジオ・メンデス。自己のグループ「ブラジル'66」を率いて制作されたこの全米デビュー盤では、ボサノヴァの名曲に加えて当時のヒット曲(ビートルズのナンバーも有)をカヴァーしており、ポップス・ファンにもすんなり聴ける内容です。大ヒットしたアルバムなので、貴方もきっとどこかで聴いた事があるはず。まずはこの作品からどうでしょう?(WILLIE)
  4.  「トゥクマン」サントラにも参加している一見神経質そうな男、ヴィニシウス・カントゥアリア。繊細なギターに粋な歌声、ドラムにピアノにパーカッションまでも自ら操る。その才能と人脈を生かした本作は、ショーン・レノンやローリー・アンダーソンといった異色ゲストも参加。アマゾン、リオ、ニューヨーク、日本を駆け回る男の会心の1枚。(かわべ)
  5.  ナラ・レオン「10年後」ボサノヴァと決別し祖国を捨てたナラが、1971年にパリで録音したアルバム。ボサノヴァのミューズと称された彼女にとって、これが初めてボサノヴァだけを録音したアルバム。冬のパリに似合うモノクロームのボサノヴァ。(《DINO》)
  6.  アントニオ・カルロス・ジョビン「波」ジョビンの名曲を手早く知りたいのなら、他の数あるベスト盤をお薦めしますが、ジョビンというアーティストを知りたいならこのアルバムは必聴。インストゥルメンタル中心の構成ながら、単なる曲の寄せ集めではない「アルバム」としてのコンセプトがすばらしい。音楽とはテクニックではなくセンスだということを思い知らされます。(ひがしの)
  7.  ジョアン・ジルベルト「3月の水」変わり者ジョアンの密室的ボサノヴァ。ジョビンの名曲「3月の水」もジョアンが演奏するとこんなに緊張感の高いものに変身。非常に特異性の高い音なので「ちょっとボサノヴァでも」という人には敷居が高いけど本物の音楽がわかる耳の肥えたリスナーには長く聴ける作品です。(ひがしの)
  8.  アストラッド・ジルベルト「おいしい水」スタン・ゲッツとの共演作「ゲッツ・ジルベルト」がブレイクし、一躍時の人となったアストラッド・ジルベルト。この作品はその彼女のソロ・デビュー盤です。本作も大ヒット、素人っぽさ漂う歌声が全米、いや世界中の疲れ切った音楽ファンの耳を癒してくれました。また御大、アントニオ・カルロス・ジョビンも参加、自身の楽曲を提供しています。「ボサノヴァ」を語る上で決して外す事の出来ない名盤中の名盤です。(WILLIE)
  9.  エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン「エリス&トム」二人の天才が作ったボサノヴァアルバム。ジョビンの気取らない美しさのピアノと、強さと繊細さを併せ持つエリスのヴォーカルがリラックスした雰囲気のなかで溶け合い、心地よく響く。1曲目「3月の雨」のデュエットは、超有名なヴァージョン。74年 ロス録音。(E.シンクレール)
  10.  カルロス・リラ”ボサノヴァのミューズ”と呼ばれたナラ・レオンに、ギターを教えたのが若き日のカルロス・リラ。ボサノヴァ全盛時代を作った一人でもある。ロマンティックなだけではなく、常に人間や人生に対する愛情を歌う彼の優しさを感じてください。(E.シンクレール)

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