ALO,ALO,BRASIL

浅草サンバカーニバル観戦レポート(28/08/99)

TEXT BY WILLIE WHOPPER

今年で19回目を迎えた浅草サンバ・カーニバル。当初は地元商店街の催しとして企画されたのだが、現在では全国から熱狂的なサンビスタが集う日本最大規模のブラジル音楽の祭典となった。本年の模様を簡単に報告する。

さて本年は先月28日に開催された。参加の各エスコーラは3つのリーグに分けられパレードを繰り広げる。馬道通りの二天門前からスタートし松屋の交差点を曲がり雷門の前を通過するルートで、審査員達はこのどこかに潜んで採点するというシステムである。其れゆえ出演者はどの地点でも常に最高の演奏とダンスが求められる。また一般観客も審査に参加でき、メイン会場の浅草寺にはインターネット投票所が設置された。

14:00のファンファーレと共にパレードはスタート。まず最初はCリーグ。このリーグは地元小学校の鼓笛隊や、消防署のマーチング・バンド、ハーレー(オートバイ)等の団体によるパレードが中心で審査の対象にもなっておらず、ブラジル音楽ファンは必ずしもチェックする必要は無い。しかし最後まで観ようと思うのなら感動を高める上でも最初から観ておきたい。暑さや人込みに耐え忍ぶのも浅草サンバの魅力の一つである。地元父兄の下町風味の声援にもなんとなく情緒を感じる。

続いてお待ちかねBリーグ。バリエーション豊かなのがこのリーグの特色。参加団体は 50人程の中編成が多く、おかしな仮装や怪しげな踊りでお笑いに走っている団体もあれば、ブラジル以外のカーニバル・スタイルで参加している団体もある。(昨年まではキューバのコンパルサで参加していた団体が存在した。今年はトリニダート・トバコのスチール・パンを演奏する団体が登場!)今年からこのリーグの優勝チームは来年Aリーグに昇格するとあって、どのエスコーラからも気合が伝わってくる。特に印象に残ったのは「ブロッコ・プラッサ・オンゼ」「ウニドス・ド・ウルバナ」。前者は70年代後半日本国内でのサンバ・ブームの仕掛け人といわれる人達が多数参加しており、演奏、衣装、ダンスとも群を抜いて素晴らしかった。本年度のみの参加という事らしいのだが、それが本当なら非常に残念。是非もう一度観てみたい。後者は遠路はるばる名古屋から駆けつけているにもかかわらず随所にキレがあり、演奏やダンスに若々しさを感じた。恒例となった日本語のオリジナル曲にも親しみが持てる。ひとえにリーダーのゲーリー氏による指導の賜物だろう。

●今年限りの出場となった「ブロッコ・プラッサ・オンゼ」



続いてブラジル本国から招聘した本場のエスコーラの演奏とダンスが登場。演奏者はたった10人程なのだが、そこから生み出されるバトゥカダは実に強力で我々日本人との技術の違いをマジマジとみせてくれた。ダンサーも体の作りが違うのは仕方無いとして、当然ながらオーラというか本場の雰囲気がみなぎっており、ただ手を振っているだけの時でも観客を釘付けにさせていた。表情もなんとも素晴らしい。もちろんダンス・テクニックも最上級。全てのエスコーラの手本ですね。

最後にAリーグの登場である。まずは「エスコーラ・ヂ・サンバ・クルゼイロ・ド・スゥル」。このエスコーラも活動歴は長く今年も品良くまとめてくれた。しかし確か昨年も同じようなテーマ(「日本とブラジルの文化の出会い」)だったと思うのだが?続いて"ヨコハマンゲイラ"の別名を持つ「エスコーラ・ヂ・サンバ・サウーヂ」。演奏、衣装、ダンスとも非常に高レベルなのだが、フロートに積み込まれたP.A.の調子が悪く、大音量でノイズが発生していたのが残念。音楽的知識&専門的知識を持つ審査員が少ない中、これは大きなダメージ。首都圏の大学のラテン系サークル合同チーム「ウニアン・ドス・アマドーリス」は、充分な練習量(学生の特権?)に裏付けされた演奏力とコスチュームのかわいらしさでギャラリーの声援も大きかった。本場リオ仕込みのメンバーが多く参加している「リベルダーヂ」はディティールまで本場のスタイルでキッチリ仕上げており、コダワリをみせてくれた。しかし大多数の(ブラジル音楽を普段聴かない)一般観客の心をつかむのは本場の様式にこだわり過ぎてもダメなようで、浅草で優勝するのを狙うのならどのエスコーラでもその辺りのバランスが永遠の課題と言えるだろう。最後に登場したのは昨年まで6回連続優勝を誇る「仲見世G.R.E.S.バルバロス」。参加人数も全エスコーラ中最大で、フロートも大掛かりなものが多く、かなり気合を入れて取り組んでいるようだ。メンバーの団結力も強そう。浅草が本拠地という事もあり声援も凄まじいものがあった。

結果発表は当日中に行われ、大方の予想通りBリーグが「ウニドス・ド・ウルバナ」、Aリーグは「仲見世G.R.E.S.バルバロス」が優勝した。という訳で今年も無事に終了、当日の夜はあちこちのブラジリアン・レストランで打ち上げが繰り広げられたのだった。

さて、来年観に行こうと考えている貴方に一つだけアドバイス。事前に参加する各エスコーラのH.P.をチェックして欲しい。そのエスコーラのテーマやみどころ、裏話等を知っていると、予備知識無く観るより2倍にも3倍にも楽しめる。このH.P.からリンクしているエスコーラも多いので是非一度御覧あれ。


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