ALO,ALO,BRASIL

アルバムレビュー:025

FLAVIO VENTURINI / LINDA JUVENTUDE

text by HARUKI(Casa de borabora)


CD

VHS

SOM LIVRE / 2000

  1. Pensando Em Voce
  2. Todo Azul do Mar--- : PAULO RICARDO
  3. Beija-flor
  4. Noites com Sol
  5. O Trem Azul--- : BETO GUEDES
  6. Besame--- : LEILA PINHEIRO
  7. Nascente--- : GUINGA
  8. Anjo Bom--- : LO BORGES
  9. Espanhola--- : BETO GUEDES
  10. Casa Vazia--- : PAULINHO MOSKA
  11. Um Violeiro--- : ZE RENATO
  12. Mera Invencao
  13. Andarilho de Luz--- : MARCUS VIANA
  14. Mais uma Vez
  15. Linda Juventude--- : 14 BIS

ミナスといえばミルトン・ナシメントを思い浮かべる人が多いと思うけれど、今回紹介するフラヴィオ・ヴェントゥリーニのことも忘れないで欲しいと思う。 忘れるも何もそのフラビオなんとかって誰だよ? というあなたのために簡単に紹介しておきましょう。 そもそもその前にミナスって何だよ?という方は、ぜひこの 「ALO, ALO, BRASIL」 のバックナンバー、ミナス特集を読んでいただくということで。

さて、戻ってフラヴィオ・ヴェントゥリーニの話。 フラヴィオは、1949年、ミナス・ジェライス州出身。 1974年にプログレ・バンド、オ・テルソにキーボード奏者として参加。 オ・テルソを脱退したあと、79年に仲間5人で14BIS(クァトルジ・ビス)というグループを結成、ミナス風コーラスをウリに、ソフト・プログレ的な音楽を志向していた。 87年にバンドを脱退し、ソロに転向。ミナスを代表するアーティストの一人として現在も活躍中なのだ。そして、今年発売されたフラヴィオの最新ライヴ盤が、今回紹介するアルバムというわけである。

フラヴィオの音楽の特徴というと、ミナスの香りをちょっと含んだ、甘く切ないセンシティヴな胸キュンメロディの曲と、優しげでなんとなくクリスタルなファルセット・ヴォイスということになる。 胸キュンメロディといっても凛とした空気感があり、そこはかとなくミナスの雰囲気をかもし出すところがただの甘さに終わっていない。また、優しげなファルセット・ヴォイスといっても、シャウトもらくらくこなせるその力量。 しかもだ、優しさとともに強さも芯もあわせ持つところが並ではない。 要するにただ者ではないのだ。 そして、このライヴ盤でも、そのフラヴィオの魅力がたっぷり味わえるのは言うまでもない。 もうお気づきだとは思うが、実はわたくし、フラヴィオの大ファンなので、大絶賛いきます! ハイ。

さて、このライヴ、99年9月30日、リオで行われた、フラヴィオの芸暦25周年記念のお祝いライヴの模様が収められている。 お祝いなだけにゲストも豪華、レパートリーも代表曲が盛りだくさん、もちろんパフォーマンスも極上の1枚なのである。 ざっとゲストの名前を並べても、パウロ・ヒカルド、ベト・ゲヂス、レイラ・ピニェイロ、ギンガ、ロー・ボルジス、パウリーニョ・モスカ、ゼー・ヘナート、マルクス・ヴィアーナ、そして14BIS。 ミナスの仲間をはじめ、本当に交友関係が広い。 こんな素晴らしいゲストが集まるのも、ひとえにフラヴィオの人柄の良さの賜物であろう。 会って話をしたことはないが、フラヴィオはきっといい人だ。 そして、集まる仲間もみんな優しくて暖かいのだ、たぶん。 その証拠に、みんな場をわきまえている。 自分の味はきっちりと出しながら、必要以上には目立とうとしない。 主役のフラヴィオを引き立て、それでいてフラヴィオの曲に新たな魅力を吹き込んでいる。 「ベサメ」 でのレイラ・ピニェイロ、「カーザ・ヴァジア」 でのパウリーニョ・モスカも、予想以上のヴォーカルで感動を呼ぶ。 「ナセンチ」 でのギンガのギターも素晴らしい。

そんなゲストの暖かさにも支えられ、フラヴィオの歌も冴える。 特徴的なファルセット・ヴォイスはもちろん美しいが、ゲストに合わせて音の高さやスタイルも微妙に調整、本当にこの人はダイナミック・レンジが広い。 それよりなにより、透明感がありながら心にじわっと染み込んでいく暖かいヴォーカル。 これこそがフラヴィオの強さといえよう。 最近のアルバムではエレクトリック度が増していて、サウンド的にAORポップスの要素が強くなっていたが(ミナスの香りがちょっぴり薄くなっていた気もする)、このライヴではアコースティックの手触りが戻ってきた。 余分な装飾をなくし、シンプルにフラヴィオの歌を支えていて、だからこそ曲のよさがより引き立つのだ。 初期の名曲 「ナセンチ」、「エスパニョーラ」 も涙を誘うほど感動モノだし(観客も歌いまくりだ)、「トド・アズール・ド・マール」、「オ・トレン・アズール」 などの定番ナンバーも素晴らしい輝きを放っている。 古巣14BISとの 「リンダ・ジュヴェントゥーヂ」 で大団円というのも泣かせるなあ。

オーディエンスも、駆けつけたゲストも、なによりフラヴィオ本人も、ライヴに関わった全員が幸福を感じたに違いない、一夜の奇跡のような珠玉のライヴ。 聴くほどに暖かく、触れるほどに優しくなれる。 そんな感動のいっぱいつまった、宝箱のようなアルバムである。