ALO,ALO,BRASIL

アルバムレビュー:011

HERBIE MANN / Do The Bossa Nova

text by カリオカ龍太郎

1962 ATLANTA

  1. Deve Ser Amor
  2. Menina Feia
  3. Amor Em Paz
  4. Voce E Eu
  5. One Note Samba*
  6. Blues Walk
  7. Consolacao
  8. Bossa Velha

Date of recording: Autumn 1962, Rio de Janeiro

ついにCD化された「毛むくじゃらフルート爺」ことハービー・マンの大傑作盤。スタン・ゲッツの浅はかさ&傲慢さに裏打ちされたヤな意味での余裕ぶっこいたプレイと、神様ジョアン・ジルベルトの”こんなハズじゃなかった”という苦汁によって全編が満たされたあまりにも有名なアルバム「ゲッツ/ジルベルト」(63年「イパネマの娘」収録)。これのスマッシュヒットにより、60年代アメリカのジャズシーンにおいてボサノヴァは「単なるジャズの模倣で口当たりの良い箸休め」ということにされてしまった。だが、その前年にリリースされた本作を聴く限りハービー・マンの受け取り方は違っていたようだ。ジョビンの作る美し過ぎるメロディーとサンバに由来する独特のバチーダ(つまりリズム)に、まったく新しい何かを感じちゃったらしく、速攻でブラジル滞在を決行。さすがは目利きのスノッブ野郎です。で、自分たちの才能と可能性に未だ確信を持つには至ってなかった現地の一流ミュージシャン達とあっさりと合流に成功(ボサノヴァ人脈のアメリカ人ジャズメンへの憧憬っぷりは半端でなかった)。そして出来ちゃったのが本作というわけです。まず参加したメンツの豪華さに驚く。これだけの一流所(しかも上り坂期)が一堂に会したレコードというのもそうあるもんじゃないですよネ(ライブ盤とかコンピは別ですが)。バーデン・パウェル、ジョビン、セルメン、そしてそして、ルイス・カルロス・ヴィーニャス率いる初代ボッサ・トレス!ボサにときめき盛りなマンと先載一隅のチャンスを得てハリキッちゃった現地人とのお互いの気合いがスパークして見事な成果を産んでます。どの曲もホント奇跡的に素晴らしいんだけど、個人的にはvsボッサ・トレスによる(ヴィーニャス・トリオとクレジットされているが)カルロス・リラの超名曲、「Voce E Eu(あなたと私)」がダントツで好き。エジソン・マッシャードの力任せでドスのきいたノリの良いドラムに、マンの甘酸っぱくも男臭いフルートがかぶさる。テクはイマイチだけどリズム感だけはズバ抜けていたというヴィーニャスのピアノもこれまた瑞々しい。非の打ち所全くナシ。ジョビンの鼻詰まりみたいなヘタウマ唱法が聴けるワン・ノート・サンバも気持ち良いですね。