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ナラ・レオン/美しきボサノヴァのミューズ

映画監督カルロス・ジエギスと結婚したナラは軍事政権に愛想を尽かすとフランスに渡った。ボサノヴァとは決別していたはずのナラだったが、かの地において故郷を懐かしみ再びボサノヴァを取り上げた。そんな意味においてもこの作品は単なる「ボサノヴァ・スタンダード」集ではない。この録音と前後し、ナラはフランス音楽界の巨匠ジョルジュ・ムスタキとの共演を果たした。
正直言ってナラ・レオン苦手でした。ただの下手な人だと思ってた。しかしこのアルバムを聴いて開眼いたしました。数あるブラジル音楽の中にも、これほど豊かな陰影と奥行きのあるものはそうそうありません。霧雨にかすむエッフェル塔。しっとりと濡れた石畳。傘もささずに歩く人たち。海のイメージが付きまとうボサノヴァがパリのモノクロームの世界に置き換えられた時にこれ程魅力的な音楽になるとは。異邦人の郷愁はタンゴに通じる。