ALO,ALO,BRASIL

INTERVIEW numero 1:VASCO DEBRITTO

インタビュー構成:ひがしの
TEXT:WILLIE WHOPPER

ALO,ALO,BRASILが皆様に贈る目玉企画、ブラジル音楽系ミュージシャンのインタビューのコーナー。有名アーティストから気鋭の新人まで、スタッフが注目&推薦する人物にインタビューしていきます。お見逃し無く。

さて、記念すべき第1回は、先頃発表したアルバム「ヴィジョンズ」がコアなブラジル音楽ファンを中心に密かな話題になっているヴァスコ・デブリート氏。音楽に目覚めたきっかけからブラジル音楽界の現況まで幅広く話を伺った。

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Q.日本に来られたのは何年くらい前ですか?また、そのきっかけは?

1984年に大使館にボザノバのスペシャリストとして招かれたのがきっかけです。神戸で 4ヵ月程演奏しました。以来、浅草サンバ・カーニバルの前夜祭や、イベント、ライヴ・ハウス等で演奏しています。

Q.音楽に興味を持たれたのはいつごろですか。それは何によって?

子供の頃からだね。母は歌手(注1)でレコードを出してたし。祖父の家にはオーディオルームが在って、7~8歳の頃にはラジオプログラムを作るまねして遊んでたな。

Q.最初に手にした楽器はなんですか?

もちろんギターです。

Q.ギターはどうやってマスターされましたか?

始めはクラッシックギターを習って、暇さえ在ればギターを抱えていたね。ヴィラ・ロボスやクラシックのエチュード、ボサノヴァやビートルズも練習したな。

Q.誰から一番影響を受けましたか?

14歳の時にビートルズを聴きポップスを始めたんだけれども、ある音楽コンテストでシコ・ブアルキの「ア・バンダ」という曲を聴いてから、ブラジル音楽の素晴らしさに目覚めさせられた。僕もあんな美しい曲を作りたいと思ってね。シコが作る曲は何と言っても歌詞が素晴らしいよ。

Q.カエターノ・ヴェローゾもビートルズをカヴァーしていましたが、彼については?

カエターノはトロピカカリズモの先駆者だった。グレイトなミュージシャンであるのは確かだ。それ以上にシコ・ブアルキの音楽は私に影響を与えてくれたんだ。シコとは今では友人として付き合っているよ。

Q.好きなブラジルのミュージシャンを何人か教えてください。

沢山いるけれども中でも好きなのは、もちろんシコ・ブアルキ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィラ・ロボス、ジョアン・ジルベルト。それから、ノエル・ホーザやピシンギーニャが好きですね。

Q.ブラジル以外のアーティストで好きな人はいますか?

パット・メセニー、ガーシュゥイン、マッコイターナーとか好きですよ。ビートルズもね。

Q.先頃発表されたアルバム「ヴィジョンズ」は、ブラジル音楽の多彩なリズムに彩られたバラエティー豊かな歌と曲が存分に楽しめる素晴らしいアルバムですが、ご自身で一番思い入れのある曲はどの曲ですか?

これは難しい質問ですね。アレンジメントは「遥か彼方に」が気に入っているし、「リオ・デ・ジャネイロ」(注2)はブラジルへの思いがしみ込んでる。どの曲も気に入ってます。見方で変わってくるからね。まあ、あえて一つ思い入れがある曲として挙げるとすれば、娘の為に作った「バレーリーナ」かな。

Q.サンパウロ出身とのことですが、サンパウロでもサンバは盛んですか?またご自身でもサンバを演奏されることはありますか?

もちろん演奏しますよ。昨年の浅草サンバ・カーニバルの公式テーマソングは僕が作ったんだからね。前夜祭ではアルセウ・マイアと一緒にサンバを演奏したよ。あまり有名では無いけれども、サンパウロでも大きなサンバカーニバルが開かれていて、リオのサンバとは少しビートが違う良いサンバが沢山あって盛んに演奏されていますよ。

Q.ブラジルと日本の最も大きな違いは何ですか?また似ていると思う部分はありますか?

ブラジルでは様々な危険や経済的不安に取り巻かれていてフレキシブルまたアクティブに順応して行かなければならないから、全ての事において表現力と創造性が必要とされるけれども、その点日本は安定していて静かな所が一番違う思う。浅草サンバカーニバルなどを見ていて、普段は隠されているエモーショナルな部分が表現される時共通点を感じますね。

Q.日本の音楽には興味ありますか?また、好きな人はいますか?

どちらかと言えば雅楽のような伝統的な音楽に特に興味がありますね。また音楽では無いけれども、作詞家として短歌や三島由紀夫などにももっと触れてみたいと思ってます。

Q.日本では最近若者を中心にブラジル音楽の人気が高まっていますが、このことについてどう思われますか?

グレイト! ブラジル音楽には沢山のバリエーションがあるので、有名な人だけでは無くいろいろな人の音楽を聞いてもらえるチャンスになるしね。

Q.ブラジル国内では現在ノルデスチの音楽が大ブームですが、どうお考えですか?

う~ん、リズム的にはおもしろいとは思うけどねえ。ヒドイ作品もあるなあ。今後のブラジル音楽の行方を思うとこれじゃあちょっと寂しいな。

Q.そろそろ次の新しいムーヴメントが起こりそうですが?

2年位前からその兆しはあるね。ちょうど来年、作曲家のフェスティバルが開催されるんだ(注3)。ここから優秀な作曲家が出てくると思うよ。なんたって今は作曲家にはチャンスがないしね。この10年MPBのシーンは変動していない。マスコミが取り上げる音楽は頭を使わくて済む音楽ばかりだ。人々は言葉に飢えている。現在のシーンには満足してない人々は多くいるんだよ。放送局の前で「もっといい音楽を流してくれ」とデモをしている人達もいるんだ。この間ブラジルに帰ってあちこちのライヴ・ハウス観にいったんだけど、どの店でもボサノヴァやMPBばかり演奏していた。本当は聴衆はこういうスタイルの音楽を求めているんだよ。来年あたりにはきっとよい状況になると思うよ。

Q.そんな中、注目しているブラジルの若手ミュージシャンはいますか?

ブラジルの音楽業界は大変革の前で今の所はなんとも言えないけれども、シンガーのモニカは可能性を秘めていると思いますね。それとレニーニ。彼は本物だ。きっと10年後も生き残っているだろう。

Q.ブラジルの音楽や文化を日本に紹介するための会社を設立されたそうですが、その活動内容と、御自身の今後の予定を教えてください。

いろいろなイベントやコンサート、CD製作を通してブラジルに触れてもらえる様に活動してます。自分自身としては4枚目のアルバムの製作に取り掛かってます。楽しみにしていて下さい。それと9月21日にオリジナル曲を中心としたライヴを目黒のブルース・アレイでやるので観に来てて下さい。

Q.最後に日本のリスナーへのメッセージを。

いつも応援してくれて有難うございます。これからも美しいメロディー、ハーモニー、リズムを大切に、さらに楽しい音楽を創造し続けて行きますのでこれからも宜しくお願い致します。ありがとうございました。


という訳で、ヴァスコさんのインタビュー、いかがだったでしょうか?その大きな体から流れ出る歌とギターの音色には優しさが満ち溢れていて、聴衆を幸せな気持ちにしてくれます。皆さんも是非一度生で聴いてみて下さい。