ALO,ALO,BRASIL

ブラジル音楽の1999年

 と言うわけでブラジルの音楽シーンをまとめていただきました。ケペルさん有り難うございます。経済的には苦しくてもなんだか妙に盛り上がっちゃってるブラジル音楽界。日本も見習わなくちゃね!?

 さて、その頃日本では?????

 てなことで、第二部は、現場にいる編集部のWILLIE WHOOPER氏からレポートしてもらいましょう。


第二部:99年を振り返る 国内編 by WILLIE WHOOPER

 1999年の日本のブラジル音楽シーンは正直言って今一歩物足りなかった。昨年のキーワードであった「ボサノヴァ40周年」にちなんだ一連の名盤の再発や、大勢のミュージシャンの来日公演はパッタリと止まってしまい、なんだかんだ言ってもマスコミが主導権を握っている現状を実感させられた。そんな中で印象に残った出来事も幾つかある。順に挙げていこう。

まずは本年発売された主なCDから。

 カエターノ・ヴェローソの旧作を順番にCD化するという、「マイス・カエターノ」シリーズはファンじゃなくても衝撃的なニュースだった。かつて日本でこんなにも手厚く面倒をみられれたブラジル人ミュージシャンがいただろうか?(あのアントニオ・カルロス・ジョビンやジョアン・ジルベルトでさえ全ての作品が日本盤で出ている訳では無い。)このシリーズのラストを飾った「レア・シングル集」には多くのアルバム未収録の楽曲が収められており、ブラジル音楽ファンなら必携だろう。海外のブラジル音楽愛好者からも問い合わせが多かったそうだ

 ボサノヴァ・ファンにとっては、幻といわれた女優マルペッサ・ドーンがフランスのバークレイ・レーベルに残した音源のCD化は嬉しいニュースだった。CBS(現SONY)も珍しく再発盤を出してくれ、マイーザの名作「バリケーニョ」やエリス・ヘジーナの「アーリー・デイズ」等はこれまで輸入盤でもCDが出ておらず気軽に聴くことが出来無かった音源だけに、多くの人々に歓喜を与えてくれた

 話題の次世代アーティストの作品群も数多くリリースされた。ファロファ・カリオカ、ペドロ・ルイス&パレーヂ、ボアット、メストリ・アンブロージオといった新人グループから、マルセロD2、OTTO、ガブリエル・オ・ペンサドール、スバ等のソロ・ワーク、そしてもはや新世代とは呼べないカルリーニョス・ブラウン、ヴィニシウス・カントゥアリア、アート・リンゼイ辺り迄、シーンを見渡すには充分過ぎるほどのタイトル数ガリリースされた。(エヂソン・コルデイロのディスコ物や某神父物とかはやや「?」だが。担当者の趣味が走りすぎたか?)。最早ブラジルの新世代ミュージシャンは日本の音楽シーンに認知されたといっても過言では無いだろう

 もうひとつ、生田恵子の「東京バイヨン娘」、宝とも子の「セ・シ・ボン〜 "ラテンの歌姫"至上のアンソロジー」の復刻も忘れてはならない。今から 40年以上も前にブラジル音楽の魅力に取り付かれ、日本の茶の間に紹介してくれた彼女達の功績は永遠に語り継ぐべきである。

 ブラジル映画は当たり年だった。サントラも大ヒットした「セントラル・ステーション」。ブラジルの陰の部分にスポットを当てた「クアトロ・ヂアス」。暮れにはボサノヴァの名曲を散りばめた恋愛映画「ワンダーランド駅で」も公開された

続いて来日アーティストについて。

 来日してくれたブラジル人アーティストはこの4−5年では最も少なかったのではないだろうか?(というか去年までが異常だったのだが。)ジョアン・ボスコ、イヴァン・リンス、そしてジョイスとワンダ・サーにセルジオ・メンデス。そしてお馴染みマルコス・スザーノ。主なところでこれだけである。確かに少ない。そんな中、殆どノー・インフォメーションで来日したガブリエル・オ・ペンサドールのショーは、日系ブラジル人の観客が多く現地でショーを観ているような錯覚にとらわれ、記憶に残るステージとなった。

1999年 来日ミュージシャン

2月

セルジオ・メンデス&ブラジル99、ソウルフライ

6月

ジョアン・ボスコ、セパルトゥラ

7月

イヴァン・リンス、ジョイス&ワンダ・サー、セルジオ&オダイル・アサド

8月

マルコス・スザーノ・プロジェクト、ガブリエル・オ・ペンサドール

9月

ヴィニシウス・カントゥアリア

11月

ネルソン・フレイレ(クラシックのピアニスト)

 最後に今年のキーワードを挙げるとすると「日本人若手ミュージシャンの活躍」という事だろう。昨年のバランサのデビューに触発されたのか、仙道さおり、アモール・マイオール、BOSSA51、比屋城篤子といった若手ミュージシャンがメジャー・マイナー問わずアルバムを発表しシーンの活性化に彩りを添えてくれた。またインターネットの普及や、ブラジル音楽(特にMPB)に理解を示すライブ・ハウスの増加、各種の情報誌やフリーペーパーの発刊等により、アマチュア・ミュージシャンの交流がますます盛んになり、21世紀を担う足がかりとなった。

 こうやってざっと振り返ると、昨年程の勢いは無いものの、少しずつではあるが、着実にブラジル音楽の素晴らしさが世の中に認知されつつあると言えるだろう。さて、もうあと数日で2000年。来年はどういったアーティストがシーンを賑わせてくれるんだろう?再び素晴らしい感動に出会えると信じて多くの音楽を聴いていきたい。